2009年05月31日

シーズン8 #35 「Week 17 4 finalists」

ステージ天井近くの両サイドに、American Idolと書かれた巨大なバルーン上のオブジェがそれぞれ吊るされている。本番前に、その片方である向かって左上のやつが外れかかってしまった。そのせいでステージにガラスが飛び散り、本番前のリハーサルができなくなってしまった。
ということで、各コンテスタンツがぶっつけで挑む今回のテーマは「ロック」。コーチはなんと、あのガンズ・アンド・ローゼズのスラッシュだ。80s後半〜90s初頭に君臨した”最後の不良バンド”のギタリストが登場。優しすぎる大御所とはひと味違うピリッとしたコーチングが期待できそうだ。

アダム・ランバート・・・・「Whole Lotta Love」レッドツェッペリンを選曲。 スラッシュのアドバイス「高域でのアドリブを控えよ」「低域を生かせ」を見事に消化。エンディングだけに本当にワンポイントで超絶高音フェイクを持ってきた。それが絶妙のさじ加減だった。ややもすると曲芸チックに聴こえてしまうアダムの超絶技巧に、音楽的に整合性を持たせる術をスラッシュは伝授したわけだ。さすがは一時代を築いた偉大なロックバンドのメインマンだ。
いつも見せるミュージカル仕込みのステージアクションも、今日は抑えた。唄に集中して、完璧なロックヴォーカリストぶり。シーズン5のクリス・ドートリーさえ霞みそうな出来だった。
コンペティションの最初の方で「アダムの声はエッジがやたらに強くてキンキンしすぎるので、普通の声ならかき消されそうな轟音バックが望ましい」と書いたが、ついに待ち望んだ日がやって来た。間違いなくアダムの過去最高パフォーマンス。トップバッターにして、勝負を決定づける先頭バッター場外ホームラン。
アリソン・イレヒタ・・・・「Cry Baby」ジャニス・ジョプリンを選曲。 力みすぎた。そのせいで発声に狂いが生じた。初めての大音量バックとぶっつけ本番で、勝手がつかめず声を張りあげすぎてしまったのだろうか。経験の少ない若いアリソンには、特に応えたに違いない。

ここで、今回初お目見えするコンテスタンツ同士のデュエット(デュオ)。前シーズンまではTOP5ウィークからひとり2曲ずつ唄っていたのだが、今シーズンからは無くなった。その代わりなのだろうか、TOP4ウィークで二人ずつ組んでハモることになったようだ。
ライアンは「投票とは関係ない」と言っていたが、実際にはこのアトラクションでの出来が投票をしっかり左右するはず。現にサイモンが、番組最後に行われるアダム&アリソンのパフォーマンス終了後のコメントで、「アダムがアリソンを救った」と発言。ということで、ソロパフォーマンス同様にシビアな取り組みが求められる。
ひとり2曲ずつ唄うが、全8曲ではなく6曲しか演奏されない。そのぶん時間が節約できる。「視聴率低下→放送時間枠縮小→時間が足りない」の経緯を辿って考え出された苦肉の策なのかもしれない。
まずは一組目の男性デュオが登場だ。

クリス&ダニー・・・・「Renegade」スティックスを選曲。意外にもクリスの声が嵌っていたので驚いた。珍しく音程がフラットしてしまう箇所があったが、カーラの言うように自分の声がモニターできなくて音程が取れなくなってしまったのかもしれない。あるいは力んで音程が下がったのだろうか。そしてぶっつけの影響も大きかっただろう。
後半でクリスがファルセットでハモった部分も素晴らしかった。結構器用なシンガーだ。
サイモンはダニーの方がよかったと言っていたが、私の評価は逆。ダニーの声はエッジが柔らかすぎてこういうサウンドには全くマッチしない。一方のクリスの声は、ソフトなエッジにもかかわらず輪郭が全然ぼやけない。こういう轟音バックでも声がかすれずにはっきりと聴こえる。そんな不思議な張りを持った声。天賦のものだ。

クリス・アレン・・・・「Come Together」ビートルズを選曲。直前にダニーとデュオをやったのが、いいリハーサルとなったのだろう。クリス流ロックを十二分に魅せた。柔らかい声なのに大音量バックにも不思議に馴染んでしまうのが、本当に驚きだ。そんな予想外さにすっかりノックアウトされ、ただただ楽しめてしまった。もう、細かい事はどうでもいい。今日のクリスは最高だ。
ダニー・ゴーキー・・・・「Dream On」エアロスミスを選曲。前シーズンでマイケル・ジョーンズが果敢に挑んで撃沈した難曲に挑戦してしまった。そして、歴史は繰り返された。しかもより壮絶に。ダニーの散りっぷりが凄まじかった。80sの新日本プロレスでハンセンのウェスタンラリアートに豪快に吹っ飛ばされる木村健吾みたいだった。
曲の前半部分では時折声がシャープした。やり慣れないことに挑戦している不安さが現れたのだろうか?
そしてサビに入ってからはヴォイストーンをチェンジした。しかしいつもの白人ソウル系シャウトではこの曲調と轟音バックに全く馴染まない。超絶に浮きまくった声では、もう何をやっても無駄。
そして最後のスーパーど素人シャウト。そう、サイモンの言うようにシャウトというよりは、ただの絶叫だった。
不得手なジャンルへの挑戦だけに、ぶっつけ本番がよけいに応えたに違いない。せめて本番前リハーサルが行えれば、もう少し聴ける内容になったのではないかと思う。
とにかく、ある意味伝説となるであろうパフォーマンスをやってしまった。ダニー・・・・ああ、ダニーボーイ・・・・

そして二組目のスペシャルデュエット登場だ。
アダム&アリソン・・・・「Slow Ride」フォガットを選曲。この二人、声の成分に似ているところがあるのかもしれない。マイクが切り替わった時に、一瞬どっちが唄ってるのかわからなくなってしまった。
そしてこのデュエットだけに関して言えば、アリソンがアダムに優っていた。微妙にシャープ気味に唄うことが多かったアダムに対して、アリソンは音程に少しのぶれも無く、タイミングも完璧。声自身の持つ魅力もアリソンが数段上だった。シャープでタイトでパワフルでキャッチーな申し分のないステージといえた。
アリソンにとっては、本番ソロパフォーマンスがリハーサル代わりとなってしまった感じだろう。アダムと一緒の(いちおう)余興扱いということで、リラックスして唄えたのも大きかったに違いない。

今回はぶっつけ本番が明暗を分けてしまった。この突然のハプニングに対応できるか出来ないかが、パフォーマンス内容を大きく左右した。
アダムは得意のジャンルを余裕でぶっちぎった。クリスはデュオをリハーサル代わりにして、本番ソロをバッチリ決めることが出来た。パフォーマンスの出来がイマイチだったアリソンは、デュエットで印象点を稼いだ。ダニーは・・・・壮絶に散った。
ということで、今回の脱落者はダニーと予想する。

さて、日本版アメリカン・アイドルのゲストは、前にresults show本編ゲストでも登場したフロー・ライダー。そしてこのフロー・ライダーは現在来日中のようで、なんとDJ KAORIが突撃インタビュー。え、英語で?
果たして、DJ KAORIは本当に英語で質問してしまった。しかも極オニ短いセンテンスで。KAORIが短く質問してゲストが答える、またKAORIが短く質問してゲストが答える、の繰り返しだった。こうしてついにフロー・ライダーとの英語による会話キャッチボールを見る事は出来なかった。謎のニューヨーカーは、依然神秘のベールに包まれていた。
しかし、DJ KAORIのチャレンジ精神を大いに評価したい。まさに今日のダニーのように、困難な課題に勇敢に立ち向かった。よくやった、DJ KAORI!今日の貴方は輝いていた!
そして惚れ直しました。胸のあたりに。

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posted by tsサイモン at 12:35| Comment(7) | TrackBack(0) | 番組レビュー シーズン8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
一か八かが裏目に出てしまったダニー。審査員もコメントしていましたが、その心意気やよし。ますますファンになりました。

デュエットはうれしい企画でした。ライアンのコメントは「デュオとしては投票の対象ではない」という意味かもしれません。ダニー・クリス組に対するサイモンの身も蓋もないコメントも、これが個人戦であることを忘れるな、と言いたかったのだと思います。

この次はテイラーとダニーのデュオが聞きたい!!
Posted by AI中毒 at 2009年05月31日 16:10
アダム&アリソンは最高でした♪
私的には、アリソンが全力でアダムは(見守りながら?)
力を少し落として歌ってるように見えました。(身びいきかな?(^^;)
Posted by アビー at 2009年05月31日 18:25
サイモンさんの解説本当に勉強になります。読んでてハーなるほどと気付かされる事ばかりです。
今回のベストはAlison&Adam。高音maleと低音femaleの見事な(模範的とも言っていい)調和。私もAdamがしっかりとAlisonをしっかりサポートしてるなあという印象受けました。
私もDannyに去年のMichaelがシンクロして映りました。苦手と分かって愚直なまでに直向にダンスやロックに挑戦するDanny。可愛すぎて憎めません。Danny Boy、、(笑)
Posted by 飴愛 at 2009年05月31日 20:54
アダム&アリソンはめっちゃキマってましたね☆
TVの前で、わたしもシャウトしていました!!
Posted by May067 at 2009年05月31日 23:54
サイモン!サイモン!サイモン〜番組関係なのか、それとも愛の鞭なのか?クリスに対して意地悪すぎ!一瞬、season5のエリオットを思い出した…確かにAdamより、技術は下でも、心というか歌に対しての気持ちが違うようにとても感じた。私は今回のパフォーマンスはクリスに1票!ダニーの雄叫びはこのseasonの最高のperformance!後ろにジェイソンの仮面をつけた人にいて欲しかったよ
Posted by ぷ at 2009年06月01日 07:48
うううっ・・・ダニー・・・。やってしまった!でも、
皆さんと同じ様に果敢に挑戦した事に拍手を送りたいです。TOP3を前にともすれば安全パイに逃げる事もできたんですから・・・。今回は私、アダムに脱帽致しました。前回までは、個人的にアダムの良さがまったくわからず、例の高音を毎回これ見よがしに聞かされ、もういいよ感でいっぱいでしたが、やはりあの声・歌い方全てはロックを歌うためにあるんだと納得!!!!初めてアダムのベストパフォーマンスを見せてもらいました。テレビの前でひれ伏したい感じでした;恐るべし・・・アダム・ランバート!
Posted by はうこ at 2009年06月01日 17:30
>AI中毒さん
そうですね。同じようにダニーの勇気を賞賛する視聴者はすごく多いのかもしれません。

いろんな人々が見ているから、ほうっておくと後先を考えずに「ダニー&クリスに一票」と電話する視聴者がいるのかもしれませんね。
結局デュオ/デュエットのパフォーマンスも個人への投票に影響してしまいますから、サイモンが苦言を呈した理由もわかります。
まあ、本番前リハーサル・カットの影響もあるので、サイモンがあまり責めるのは酷だと思いますが(笑)

テイラー&ダニーのデュオ、ファイナルショーでやってくれないですかね?期待してしまいます。

>アビーさん
それはあるでしょうね。妹を引き立てる優しい兄・・・・そんな感じでしょうか!

>飴愛さん
そうですね。アダムは優しいお兄ちゃんだったんでしょうね。お互いそれぞれに良い面が出せた、意義深いデュエットとなったようですね。

ダニーの絶叫は逆にファンのハートを掴んだかもしれませんね。アメリカン・アイドルはパフォーマンスの出来が全てではないっていう側面を、私は再確認しました。

>May067
このコンビ、大好評ですね!

>ぷさん
サイモンは、クリスの良さをイマイチ理解できてないような気がします。

今回私はダニーから「人間、とにかく全力でぶつかれば悪いようにはならない」という事を教わりました。ありがとうダニー・ゴーキー!

>はうこさん
豪快に散って、なお視聴者を納得させてしまうダニー。もしかしたら、ここに彼の本質があるのかもしれませんね。

今回のアダムは、とにかく最高でした。今までどこか混ざりきらなかったものが、完璧に融合したベストパフォーマンスでした。また、アダムの才能を完全に引き出したスラッシュが、本当にナイスアシストでした。
Posted by tsサイモン at 2009年06月13日 09:56
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