2009年05月10日

シーズン8 #29 「Week 14 7 finalists」

今週のテーマは「映画で使われた曲」。音楽が映画とタイアップするというのは、もう20年以上も前から主流となったプロモーション方法。長い歴史を持つので、選択範囲はほぼ無限大。あらゆるジャンルから無数の曲を選べるので、コンテスタンツは自由度の高い選曲が行える。
しかしこのところ、こういうアバウトなテーマが続いている。「生まれた年に流行っていた曲」「ITunesでダウンロードできる曲」そして今週の「映画で使われた曲」。選曲しやすいテーマにしてコンテスタンツの便宜を図れば、ジャストな選曲が多くなり充実したパフォーマンスが多く生み出される確立が増えそうだ。そうなれば番組も盛りあがるという狙いがあるのだろうか。
その方向性は悪くないと思うが、毎週続くとさすがに食傷気味になってくる。次回あたりは少し捻ったテーマを期待してしまう。昨シーズンのウェーバー・ウィークやニール・ダイヤモンド・ウィークみたいに、高度な選曲センスと柔軟な曲解釈力が要求されるテーマの登場を望む。デヴィッド・ボウイ・ウィーク、スティックス・ウィークとかやってくれたら面白そうだ。

と最初は思った。テーマだけ聞いた時は、コンテスタンツにとって組し易そうに感じたからだ。しかしゲストコーチの名前を知らされて印象が半転。なんと映画監督のクエンティン・タランティーノ。鬼才にして怪人にして希代のヒットメーカー映画職人が、コンテスタンツに手取り足取り口を出す。いくら自らの作品で毎回抜群のBGM選曲のセンスを披露するとはいえ、映画人のゲストコーチ起用はなかなか思いきったアイディアだ。
と思いきや、タランティーノには過去にAmerican Idol シーズン3でゲスト審査員として出演した経験があった。そして独特な切り口と辛らつなコメントを連発して、コンテスタンツを右往左往させた。これは一筋縄では収まらないぞ・・・・

もうひとつ。今週から、「コンテスタンツ一人に付き審査員二人だけがコメントする」というシステムに変更された。先週の番組放送時間切れ事件に端を発した改変である。昨シーズンよりも審査員が一人増えて四人になった。それで審査員のコメントタイムがコンテスタンツのパフォーマンス時間を圧迫する事態を引き起こしてしまったのが今回問題視されたわけだ。三人のままでよかったのに・・・・
しかしこれは、最初から危惧されていた事だと思う。私も今シーズン開始当初に、コメント欄か何かにソロッと書いたような記憶がある。私が気づくくらいだから、当然巷ではさんざん囁かれていたに違いない。
「下降中の番組視聴率の再アップ」という至上命題に尻を叩かれながら、審査員増員&ワイルドカード再導入で始まった今シーズン。TOP12突入直前に新ルールのジャッジズ・セーブが追加され、さらにTOP12の予定が掟破りのTOP13で本ラウンド開始。そしてここでまた新たなるルール変更。
しかしこのルール変更には、好ましい面もある。毎回サイモンがコメントを言わなくなったことだ。思い切りよく発される彼の言葉は不思議な説得力を持ち、視聴者への影響力が強い。サイモンのコメント数が減るということは、それだけ視聴者はサイモンにつられずに自分自身の判断で審査する機会が与えられたということにもなる。本来あるべき視聴者投票の姿に少し近づいたのかもしれない。
一方で、二人コメント制の好ましくない点、それもやっぱりサイモンのコメントが毎回聞けないことだ。サイモンが何を言うのか毎回興味深々だ。彼のコメントは番組の大きな見所のひとつだと思う。そんな私みたいな視聴者も多いのではないだろうか。
個人的には楽しみが減ってしまった、と言わざるを得ない。だから、やっぱり審査員三人制に戻してほしい。

アリソン・・・・「I Don't Want To Miss A Thing」 エアロスミスを選曲。妙に印象に残る動作のタランティーノなので、リハーサル風景にいつもとは違うインパクトが加わった。気難しい形相のタランティーノに目の前で座られたら余計に唄いにくそうだ。
本番のパフォーマンスは、キーが低すぎるためにところどころ音程が乱れる部分が少し気になった。サビがリピートする前に展開していくブリッジの部分で特に目立った。曲中クライマックスとなる部分で最高域の音をきちんと出すために、曲のキーをギリギリ低く設定したと思われる。若干音域を広く使いすぎてしまったように思う。
しかしそれでも声の存在感は相変わらず素晴らしかったので、悪い印象は残らない。
アヌープ・ディサイ・・・・「I Do It For You」 ブライアン・アダムスを選曲。タランティーノのアドバイスはめちゃくちゃだ。それを全く無視して唄ったアヌープに勝利の女神が微笑んだ。何よりもトーンのコントロールが素晴らしかった。曲中半で微妙に音程がシャープする箇所が感じられたが、後半最も盛りあがる♪Die for you♪の部分などは息をも呑む美しさ。さすが「静」のアヌープだ。
アダム・ランバート・・・・「Born To Be Wild」 ステッペンウルフを選曲。TOP13が始まって間もない頃はただただ驚愕だった超絶高音に、耳が慣れてしまったのか聴いてもびっくりしなくなった。最後の恒例スーパー音域フェイクも、毎回同じパターンで同じような音域を使って同じようなフレーズを繰り出している感がある。選曲にもよるのかもしれないが、ワンパターンになってきた面は否めないと思う。
マット・ジラウド・・・・「Have You Ever Really Loved a Woman」 ブライアン・アダムスを選曲。この曲をどういうふうに唄うのかと思ったら、またロックやっちまったよ・・・・彼のファルセットはロックを唄えるほどパワフルではないってだけではなくて、声そのものが向いているとはいえない。そのことに気づくべきだ。
それにしても終始音程がふら付いていたし、いったいどうしたのだろう?結構出来不出来の差が激しいタイプのシンガーなのかもしれない。集中力にムラがあるのだろうか?
ダニー・ゴーキー・・・・「Endless Love」 ダイアナ・ロス&ライオネル・リッチーを選曲。「Hero」もそうだったけど、ダニーはこういうバラードがとにかくうまい。そして今回は感情を実に見事に乗せきった。最後の盛り上がりが圧巻。少し涙ぐんでしまった。
サイモンがコメントの中でデヴィッド・クックを引き合いに出して、ダニーの新味の無さを批判していた。しかし、ダニーはクックというよりもむしろアーチュレッタ(←強いて言えばです)。心を揺さぶってナンボのシンガーだと思うので、ことさらに新しさを求める必要はないと私は考える。
クリス・アレン・・・・「Falling Slowly」 Glen Hansard (of The Frames) & Marketa Irglovaを選曲。ランディのコメントに同意。弱く唄い出す前半部分でかなり音程が不安定だった。ファルセットの時に音程が少しずれるのは毎回なのだが、それでも他の部分に圧倒されるパフォーマンスがこのところ続いていた。しかし今回は不安定な箇所が多すぎたかもしれない。
それと、曲が合わないような気もする。映画「Once ダブリンの街角で」の中で流れたこの曲には、ハッとするような美しさがあった。しかしメロディー自体はかなり単純で、これを表情豊かに唄いこなすのはかなり難しいかもしれない。また、クリスよりももっとロックぽい、鋭いエッジを持った声のシンガーの方が似合いそうな曲でもある。
リル・ラウンズ・・・・「Rose」 ベット・ミドラーを選曲。最初から最後まで音程が乱れっぱなし。ゴスペルチックにパワフルに唄う部分では安定しているのだが、力を抜いてそっと唄う部分になると急にピッチが踊りだしてしまう。
前回カーラに「低音に迫力が無い」と言われてしまった。それで今回リルはゴスペル調のアレンジで中低音を響かせて(ことさらに)力強く唄ったのだと思う。その部分は成功した。
しかしそこに気持ちが持っていかれてしまったのだろうか?高音を綺麗に響かせてソフトに唄う部分では、音程や発声が不安定になってしまった。二つの異なった唱法の切り替えを、スムーズに行えなくなってしまったようだ。
選曲はもちろん、歌唱法からアレンジまで全てをリルは考えに考え抜いたのだと思う。それにもかかわらず、サイモンにまたも「選曲が・・・・」と全く同じ内容の酷評を受けた。これにはさすがにリルがぶち切れてしまったようだ。真顔でサイモンに言い返した後に、涙をこらえる場面まで見られた。気の毒だった。
迷路に迷い込んでしまった。混乱して、全てが裏目に出てしまっている。

今週はゲストコーチが限りなく微妙だったので、選曲や曲解釈のセンスを含めたコンテスタンツの総合力が問われる回となってしまった。その中で輝きを見せたのが、ダニーとアヌープ。次が安定感のあるアリソンと技術的に全くそつのないアダム。ボトム3はクリス、マット、リルだと思う。そして得票数最下位は先週に引き続きリルと予想する。リル、ごめんなさい。

今週の日本版アメリカン・アイドルのゲストはFM TOKYO のパーソナリティー藤丸由華さん。最近地味なゲストが多くなってきたが、これはこれでいいかもしれない。本編が終わったあとは、その余韻を味わう時間にするべき。過剰な演出はいらない。この先番組はいよいよ佳境に入っていくので、なおさら膨らむ余韻を邪魔しない番組構成が視聴者に歓迎されるだろう。

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posted by tsサイモン at 18:19| Comment(5) | TrackBack(0) | 番組レビュー シーズン8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いつも楽しく読ませていただいてます。

アヌープとダニー、すごくよかったですね。
タランティーノが「荒々しく歌って!」とアドバイスしてたので、アヌープ大丈夫かな?なんて思ったのですが、素敵なパフォーマンスでしたね。

ダニーは好みの声と人柄が相まって、一番のお気に入りなのですが、Endless Loveはいつも以上に心にしみました。いつもはない左手薬指につけた指輪にも、じーんときてしまいました。

ジャッジが2人コメントになったのは私も残念です。
カーラがコメントしている時に物言いたげなサイモンの姿が写って、何を言おうとしているのかすごく気になってしまいました!

AI同様、また更新楽しみにしてます。
Posted by abbey at 2009年05月10日 21:03
客寄せパンダっぽく(スイマセン)なってきた感があるアダム・・・サイモンのコメントに同調しますね
リルは・・・さようなら
来週こそクリスとマットの化け具合に注目してます
Posted by narinari at 2009年05月10日 21:09
こんにちは。いつも楽しんで拝読しています。
確かに今回のマットは、?どうしたの?という感じでした。大好きな曲だけにちょっと残念。同じ曲を歌ったクリス・ドートリーの凄さを改めて痛感しました。

ジャッジはポーラが喋り過ぎなんじゃないでしょうか?どもりながら、言葉選びながら話すのでサイモンがいつも待ちきれなそうに眺めてますよね。
Posted by 飴愛 at 2009年05月11日 11:18
マットにしてもリルにしても大好きな曲だったのに、ちょっと残念な出来でした。無いものねだりですが、二人が時間をかけて歌いこんだ後で、もう一度聞いてみたい!!

マットの時、僕もクリスのことを思い出しました。
Posted by AI中毒 at 2009年05月11日 19:52
今回は皆さん同じ様な意見ですね!私もです。アダムは「もうわかったから〜〜(^^;)」と言いたくなっちゃう感じでしたし、リルは完全に自分を見失ってると感じました。地方予選の時のバリバリのR&Bテイストの声や歌い回し・・どこへ行ってしまったんだ??マットも最初は私もサイモンと同じくエリオットを思い出し、期待していたんです。でも・・・。そう考えるとシーズン5のファイナリスト達はホントに逸材揃いでしたね!!今回は私もやっぱりダニーとアヌープが良かったです。ダニーは珍しく音をはずしていた所もあり心配しましたが
ラストはいつものダニー♪あの表情の裏には奥さんを思い描いているのかな・・とジーンと来てしまいました。
アヌープもアドバイスを無視して歌っていたので安心しましたよ。あの曲のどこを荒々しく歌うんじゃ??と。あまりの的外れなコーチ依頼に、度重なるやり方の変更。今シーズンの本国においての視聴率低下という話、うなずける気がします。
Posted by はうこ at 2009年05月13日 21:31
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